特許「ラッカナイト」
万年筆の品質向上から生まれた蒔絵万年筆
1900年代初め、当時万年筆の軸材として一般的に使われていたのは「エボナイト」という硫黄とゴムを化合した素材でした。
しかしエボナイトは時間の経過とともに、紫外線や湿気による表面の変色・艶落ちという欠点がありました。パイロットはその弱点を補うために、日本が世界に誇る優れた塗料である“漆”に着目し、「ラッカナイト」という表面処理技術を開発しました。
ラッカナイトは世界で初めて、漆によりエボナイトの変色を防止する表面処理方法として1925(大正14)年に日本とアメリカで特許を取得しました。ラッカナイトの処理の上に日本古来の伝統工芸である蒔絵を施すことで、日本を代表する美麗な装飾の蒔絵万年筆の製造を開始することになりました。
こうして、強さと美しさを兼ね備えたパイロット万年筆は世界に広まり、受け入れられていきました。