感想をおくる

かく、を楽しむ

2026.10.09

[ 手書き時間でととのえるVol.4 ]わたしをととのえる~集中できる環境のつくりかた~

「手書き時間でととのえる」が自然と続けられる環境は、どのように作り出せばいいのでしょうか?
手書き時間を充実させることのできる環境とは? 集中しやすく、片づけやすい部屋づくりとは?
今回は、今日から取り入れられる集中できる環境づくりをご紹介します。ぜひご自宅で試してみましょう。


"書く"を楽しむことのできる環境とは


ライフログやジャーナリング、勉強などの "書く"行為に集中しようとしても、あまり没頭できない、継続できないといったこともあるかもしれません。それは意志が弱いからではなく、その原因が環境にあるケースも多くあります。

もちろん、住環境は十人十色。家族と同居している、コンパクトなスペースで一人暮らしをしている、自分専用の個室やデスクがない、ダイニングテーブルが在宅ワークのスペースやリビング学習と兼用になっている、など、暮らし方はそれぞれ。
ただ、手書きをする環境に向いているのは、必ずしも書斎のような専用の空間だけではありません。大切なのはその場所が"書く"に向き合える状態になっているかどうかです。


わたしがととのう、手書き空間のつくり方


"書く"ための環境を整えるコツは、大きく決めてから、細かく整えること。
住空間づくりのプロも、まず空間やエリアの用途を決め、その後に収納を考えるそうです。
ここでは、その流れを一級建築士・模様替えアドバイザーである志鎌のり子さんが提唱する「3S」という3つのステップで見ていきましょう。


① Space(空間分け)
まずは、手書きする定位置を決めます。
個室でなくてかまいません。ダイニングテーブルの右端、窓辺の小さな机、寝室の一角でも、「ここは書く場所」と決めるだけで、その場所に役割が生まれます。
家族が頻繁に通る場所や、視界に気が散るようなものが入るような場所は避け、気持ちが落ち着く"小さな居場所"を選ぶのがポイントです。

② Streamline(動線)
次に、動線を整えます。
続けられないことの多くは、実は"とりかかる前"でつまずいているケースが多いと考えられます。行動に移すまでの手間が多いほど、人は腰が重くなるもの。"書く"ことも同じで、ノートを探す、ペンを探す、資料を取りに行くといった小さな手間が積み重なると、書き始める前に億劫になってしまうのです。
広いスペースは必要ありません。ノート1冊を開ける場所と、すぐ手に取れるペン、それだけで十分。デスクを増設したり仕切りを作ったりとモノを増やすと、かえって片づけの手間や動線の妨げになってしまうので注意しましょう。
大切なのは、「書くまでのハードル」を、できるだけ低くしておくことです。

③ Storage(収納)
最後に、収納を整えます。
収納は"しまい込む"と思いがちですが、実は"戻しやすさ"が大切。深い引き出しに保管するよりも、浅いトレーや仕切りを使うことでサッと取り出してサッと戻せます。
ラベルを貼って収納場所を決めておくのも有効です。



05_enjoy039_4th_4-2.jpg

ノート・ペン・付箋をひとそろえにした"手書きセット"を作ることもおすすめ。
探す手間なく、思い立ったときにすぐ書き始めることができます。出しっぱなしにしても生活感が出すぎず、気持ちよく使えるデザインが◎。

そして忘れたくないのが、机上の余白です。
"書く"場所と決めた机上に書類やリモコン、メモ帳、郵便物、こまごまとした雑貨などが雑然としていると、目に入るたびに脳が無意識に反応し、「あれもやらなきゃ」「これも片づけなきゃ」とエネルギーを消費し続けてしまいます。
"書く"ことは、自分の考えや気持ちに向き合う時間。視界のノイズが少ないほど集中しやすくなるので、目の前にあるのはノート、ペン、必要な資料だけが理想。ノートを広げてまだ余白があるくらいがちょうどいいでしょう。
そのために、デスクに出しておくのは"一軍"だけ。よく使うペン2〜3本、ノート、付箋などで十分です。予備や使用頻度の低いものは、別の引き出しやボックスにまとめましょう。

集中を後押しする"+α"

◆照明
手書きをするには、手元の明るさが欠かせません。天井の照明だけでは照度が足りなくなりやすいので、デスクライトを一台足すと、見やすさが大きく変わります。
おすすめの光の色は、白っぽい「昼白色」や「昼光色」です。文字のコントラストが引き立ち、作業モードへの切り替えや集中力を高めるのに適しています。一方、オレンジ色の「電球色」はリラックスした空間づくりに向いていますが、細かな文字を読み書きする際には少し暗く感じられることがあります。置く場所もポイントがあり、右利きなら左側、左利きなら右側に置くことで手の影が文字にかかりません。子どもの勉強時間はもちろん、大人の手書き時間にもぜひ取り入れてみてください。



05_enjoy039_4th_4-3A.jpg 05_enjoy039_4th_4-3B.jpg

左:昼光色のライト 右:電球色のライト



◆椅子・姿勢
座り心地も整えたいポイント。
仕事や勉強にもいえることですが、椅子と机の高さが合っていないと肩や首への負担が大きく、書き終わったあとに疲労感が出てしまうことも。座り心地のよい椅子、足の裏が床につく高さなど、適切な姿勢を保てるようにしましょう。
床に座るスタイルなら、フローリングに直接ではなく、カーペットやクッションを敷くなどの工夫をすると腰への負担が和らぎます。



“書く”ことは、暮らしを整えること


環境が整ったら、さっそく手書き時間を日々の生活に取り入れてみましょう。
すでに生活の中にあるルーティーンに結びつけて組み込むのも効果的。
朝のコーヒーのあとや寝る前などの5分を“書く”時間にする、仕事を始める前にノートを広げて考えを整理するなど、日常の動作に手書き時間を添えると、習慣として無理なく続けられます。何よりも、毎回「書こう」「書かないと」と気合いを入れなくても、自然に書き始められる状態をつくっておくことが近道です。

実は“書く”ことは、住まいを整えることとよく似ているといえます。
住環境において、物の置き場所を決め、動線をつくり、余白を残すことで、暮らしが快適になっていきます。
手書きの時間も同じです。ノートに向かうと感情が落ち着き、頭や心に余白が生まれます。自分の記録や情報、タスク、学びも可視化され、頭の中も毎日も、少しずつすっきりしていきます。 空間を少し整えるだけで、“書く”時間はもっと心地よく、ずっと続けやすいものになります。ノートを開ける場所があり、自分の素直な気持ちに戻れる時間があれば、それはもう、十分に“ととのう時間”になるのです。



05_enjoy039_4th_prof_shikamanoriko.jpg

監修:志鎌のり子(しかま・のりこ)

一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/模様替えアドバイザー。空間分け(Space)・動線(Streamline)・収納(Storage)の独自の3Sメソッドを構築し、片づけやすい部屋づくりから、子どもの学力を伸ばす住まいの仕組みづくりまで幅広く提案。著書に『家具配置のルール』『狭い家でも子どもと快適に暮らすための部屋作りのルール』(彩図社)などがある。

  • 1

  • 2

この記事をシェアする