感想をおくる

万年筆を使ってみよう

Vol.3万年筆をさらに楽しむインキの世界

Lesson note

美しいインキの色の中から好きな色を選べて、多様な表現ができることが万年筆の魅力の一つ。
SNSでは「インク沼」とも表現されるほど、その世界は奥深く、とても魅力的です。
今回は、万年筆のインキの種類や使い方、色選びのコツなどをわかりやすくご紹介します。

万年筆のインキ

万年筆のインキの種類は、大きく分けて「カートリッジインキ」と「ボトルインキ」の2つがあります。

ボトルインキ

ボトルに入ったインキを吸入して使います。万年筆愛用者には、このインキを吸入する所作や時間が好きな方も多く、万年筆を使う楽しみのひとつです。ボトルインキは色の種類も豊富。サイズも大小あり、小瓶はいろいろな色を試したい方におすすめで、大瓶は気に入った色をたくさん使いたい方に最適です。

How to Use

ボトルインキとコンバーターの使い方

ボトルインキを使用する際は、基本的にコンバーターという専用の吸入器具が必要です。
カートリッジインキのように万年筆の首軸に装着して、インキ瓶からインキを吸入して使用します。
コンバーターには、回転式とプッシュ式があります。また、コンバーターを使用しない吸入方式の万年筆もあります。

準備するもの

  • 万年筆本体
  • ボトルインキ
  • コンバーター
  • 試し書き用の紙
  • さらしなどの柔らかい布(ペン先に付着したインキを拭き取るために使用)
01

コンバーターを万年筆の首軸に回さずまっすぐ、しっかりと奥まで装着します。
コンバーターが回転式の場合はつまみを左に回し、内部のピストンを下まで下げます。

02

インキにペン先を首軸の先端部分まで浸したら、コンバーターのつまみを右に回しながら吸入します。
(コンバーターがプッシュ式の場合は、ペン先を首軸の先端部分までインキに浸した後、そのまま複数回押し込んで吸入してください)
ペン先を首軸の先端部分までしっかりとインキに浸すことがポイント。ペン先がインキ瓶の底に当たらないように注意しましょう。

03

インキを入れることができたら、ペン先の余分なインキは柔らかい布でふき取って。実際に試し書き用の紙に万年筆で書いてみましょう。

インキの種類

万年筆のインキには「染料インキ」と「顔料インキ」という二種類があり、それぞれ異なる個性を持っています。

01

染料インキ

染料は水に溶ける性質で、紙に浸透し色の濃淡が楽しめ、万年筆本来のサラサラした書き心地を味わえます。市販されている万年筆用インキの多くはこの染料インキで、色数が豊富、扱いやすいといったメリットがあります。

02

顔料インキ

顔料は水に溶けない性質で、発色がよく、耐水性や耐光性に優れ、水に強く色褪せしにくい、長く保管しても変色しにくい特長があります。封筒の宛名や長期保管をする必要がある文書などに適しています。
※顔料インキのメンテナンスには、専用の万年筆洗浄液をお使いください。

カラーインキの使い分け

パイロットの万年筆用インキ「色彩雫(いろしずく)」シリーズは豊富な色が展開されていますが、日常使いしやすい色が特に人気です。「月夜」や「紺碧」「深海」などのブルー系や、紫系の「山葡萄」など、手紙を書く際にも使えて冒険心も満たしてくれる絶妙なバランスのカラーです。

これまでの日本のビジネスシーンでは、黒で文字を書くことが基本。その他の色(特に赤)は宛名や文書・手紙ではタブーとされてきました。赤は引き続きNGとされるシーンも多いものの、現代は品のあるブルー系であれば文書や手紙で使っても大丈夫。親しい仲なら、梅雨の時期には「紫陽花」など、季節感を意識したインキ選びを楽しむのも◎。

※文書や手紙の内容によっては、黒の方がいい場合もあるので注意しましょう。

インキの補充タイミングと色替えのコツ

コンバーターのインキの補充タイミングは、万年筆を逆さまにするとわかりやすいでしょう。コンバーター内のインキがほとんど見えなくなったら補充のサインです。
使っているインキと別の色を使用したい際は、前のインキを完全に洗い流します。薄い色から濃い色への変更ならさっと洗うだけでも問題ありませんが、濃い色から薄い色の場合は水に一晩浸けて、よく洗い流すのがポイントです。この色を変える作業も、新しい色との出会いに心がワクワクする瞬間でもあります。

洗浄方法[ コンバーターの場合 ]

  1. コップに水かぬるま湯を用意します。

  2. コンバーターを装着したまま、ペン先を首軸部分までコップに入れて、水を出し入れします。インキを吸入するように、水を繰り返し出し入れすることで洗浄できます。コップの水を取り替えながら、色が出なくなるまで続けます。

  3. やわらかい布で水分をよく拭き取り、乾かします。

カートリッジインキの洗浄の方法はこちら

インキが織りなす
特別な時間

インキは、心の色を紙に映し出してくれます。さまざまな色の中から、今日の気分や想いにピッタリの一色を選ぶ──。そんな時間が、自分らしさを見つけるきっかけになります。
万年筆とインキの組み合わせで、あなただけの書く時間を楽しんでください。そこには、きっと新しい発見と喜びが待っています。

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